まじめちゃんブログ

社会人 x 学生

Chapter 3.4 & 3.5

 

バイオインフォマティクス Pythonによる実践レシピ」(朝倉書店)を使ってバイオインフォの勉強を進めているところです

 

 

Chapter 3.4 ゲノムアノテーション・ファイルの解析

 

Chapter 3.4では、まずGFF (genetic feature format) や GTF (general transfer format) を操作するための「gffutils」 をインストールするところからスタート

 

こちらは普通にターミナル上で

conda install gfftils

とすればインストールできました。

 

 

そして毎回詰まるデータファイルのダウンロード、

相変わらずリンクの更新によりダウンロードできず (T T)

 

fastaファイルがあった Chapter 3.3 のときと同じ場所でgffファイルも見つかりました。

2022年2月4日時点でこちら↓のコードがワークしました!

 

import gffutils
import sqlite3
try:
    db = gffutils.create_db('https://vectorbase.org/common/downloads/Legacy%20VectorBase%20Files/Anopheles-gambiae/Anopheles-gambiae-PEST_BASEFEATURES_AgamP4.2.gff3.gz', 'ag.db')
except sqlite3.OperationalError:
    db = gffutils.Featuredb('ag.db')

 

 

Chapter 3.5 レファレンス配列からの遺伝子抽出

 

今回は新しくダウンロードするデータはないようで(´▽`) ホッ

 

1つだけ、2020年9月にBiopythonで廃止されたAlphabetモジュールが使われています。

Alphabetと出てきたらシンプルにその1文を削除していただけたらOKかと・・・

 

たとえば、最初のAlphabetのインポートはなしで

from Bio import Seq, SeqIO

になります。

 

alphabet=...系も削除しちゃってください。

たとえば

seq = Seq.Seq('', alphabet=Alphabet.IUPAC.unambiguous_dna)

seq = Seq.Seq('')

で良いみたいです。

 

 

バイオインフォマティクス Pythonによる実践レシピ」(朝倉書店)の勉強に関するほかの記事は以下からお探しください

はじめに - まじめちゃんブログ

Chpater 3.3 低品質レファレンスゲノムへの対応策

 

またもやデータをダウンロードできない事象が発生しました。

 

Githubで公開されているコード

!rm -f atroparvus.fa.gz gambiae.fa.gz 2>/dev/null

!wget ftp://ftp.vectorbase.org/public_data/organism_data/agambiae/Genome/agambiae.CHROMOSOMES-PEST.AgamP3.fa.gz -O gambiae.fa.gz

!wget https://vectorbase.org/common/downloads/Pre-VEuPathDB%20VectorBase%20files/Anopheles-atroparvus-EBRO_SCAFFOLDS_AatrE1.fa.gz -O atroparvus.fa.gz

 

このコードだとA.gambiae、A.atroparvusのゲノムどちらもダウンロードすることができませんでした~(T T) 

リンクがアップデートされたのかと思います。

もう、ほぼお決まりの展開・・・

 

2022年1月30日の時点で動いたコード

全く同じデータかは分かりませんが、こちらのコードに書き換えたらダウンロードできました。(書籍の解析結果と同じ結果が得られたので、同じゲノムかと思われます)

 

!rm -f atroparvus.fa.gz gambiae.fa.gz 2>/dev/null
!wget https://vectorbase.org/common/downloads/Legacy%20VectorBase%20Files/Anopheles-atroparvus/Anopheles-atroparvus-EBRO_SCAFFOLDS_AatrE1.fa.gz -O atroparvus.fa.gz
!wget https://vectorbase.org/common/downloads/Legacy%20VectorBase%20Files/Anopheles-gambiae/Anopheles-gambiae-PEST_CHROMOSOMES_AgamP3.fa.gz -O gambiae.fa.gz

 

もしこのコードもダメになっていたら以下の探し方で見つけてみてください。

 

 

探し方

ひとまずVectorBaseのダウンロードページへ

VectorBase公式ページ↓

vectorbase.org

ダウンロードページ↓

https://vectorbase.org/common/downloads/

ここを頑張って漁ってみてください。

私が探したときはLegacy_VectorBase_Filesの中にほぼ同じ名前のfa.gzファイルが存在したので、それをダウンロードしました。

 

f:id:rakikix:20220130134010p:plain

ダウンロードページ

 

その他の誤植

Chapter3.3はほかには1か所エラーがありました。

(2) p. 74のコードで最後の4行分(for chrom, Ns in...から最後まで) のコードのインデントが間違ってます。一番左に詰めた状態が正解です。

 

 

 

 

 

はじめに

この記事のテーマ

 

最近「バイオインフォマティクス Pythonによる実践レシピ」(著・Tiago Antao/訳・阿久津達也、竹本和広/朝倉書店)を使ってバイオインフォの勉強しています。

↓以下のリンクの本です

 

内容はこれからバイオインフォで研究しようという私にとってとても参考になる内容なのですが、初版が2020年だからかリンクが古くなって接続できない&コードの誤植が多いのです・・・

 

そこで、頑張ってデバックした記録を残していこうと思います。

 

 

 

目次

Chapter 1

Chapter 2

Chapter 3

 

 

 

【14】地殻に棲む微生物の物質リサイクル式生存法

【論文タイトル】Recycling and metabolic flexibility dictate life in the lower oceanic crust

【著者】Li et. al.

【年】January 2020

【ジャーナル】Nature

【リンク】

www.nature.com

 

極限環境生物をご存知ですか?

 

普通なら生物が住めないような極限の環境に生息する生物を指します。

 

極限環境は、例えば、ものすごく熱いとか寒いとか、高圧だとか乾燥してるだとかいう環境ですね。

 

ネイチャー誌のこちら(↓)のニュース記事に極限環境生物のことが簡単にまとめられていたのですが、なんと全微生物のうち~70%が極限環境に生息しているそうです!

 

www.nature.com

 

ちょっと疑いたくなるくらいですね、おどろきです。

 

ここまでくると、本当に生物にとって「極限」の環境なのか?という疑問すらわいてきます。

むしろ、その微生物にとっては、ヒト含む動物が暮らす環境のほうが極限かもしれません。

 

と、私はこのような環境に生息する微生物に興味深々なわけですが、

 

今回の論文はネイチャー誌からで、

海底の「地殻」に棲む微生物の調査報告になります。

 

 

地殻には生物にとって重要な炭素源やエネルギー源がなさそうですが、

 

ほんとうに地殻にまで生物がいるんでしょうか?

 

 

では、見ていきましょう!

 

 

筆者らは、インド洋の南西インド洋海嶺において、水深700 mの位置にある地殻をさらに800 m採掘しました。

そして、回収した地殻サンプルに存在する微生物や物質を、深度ごとに調査しました。

 

筆者らが乗船した船には実験設備があるらしく、ATP量などは船上で即座に計測したそうです。

(船の上で実験するのって酔わないんですかね?笑)

 

 

ほかにも、細胞数、顕微鏡観察、細胞外酵素活性、C量、H量、N量、S量 (CHNS) や微生物の生存率、一部微生物の活性、RNA量を調べたそうです。さらには、サンプル中の岩石の解析、マーカー遺伝子による原核生物の多様性解析も行ったそう。

 

ものすごい仕事量ですね。

ここまでしたから、ネイチャーに載ったんでしょうか。

 

 

結果、地殻には微生物が生存していたそうです!

 

しかし、やはり細胞数はかなり少なく(2000 cells/cm3)、 微生物は地殻のなかでバラバラに生息していたようです。

 

地殻に存在するmRNAを調査したところ、

予想外なことに、従属栄養的なプロセスに必要な遺伝子がとれたようです。

 

これらの遺伝子から推測するに、

どうやらインド洋の地殻に棲む微生物は、

ポリヒドロキシアルカン酸などを炭素源として利用し、アミノ酸を再利用することでエネルギー源としているようでした。

 

β-oxidationでアセチルCoAをつくり、TCA回路でアセチルCoAを消費してエネルギーをつくっていることも示唆されました。

 

ほかにも間隙水にふくまれる栄養も利用しているとか。

 

地殻では、原料からできる生産物をまた原料にする、物質のリサイクルが発達しているようですね!

栄養源の少ない環境で編み出された技です。

 

地殻に生存する微生物は、少ない栄養源でゆーっくり増えたり細胞を維持しているようですね。

 

 

どんな環境にも微生物は適応して、進化しています。

またそのシステムが手が出せないくらい完璧だったりするんですよね。

生物学は奥が深いです。

 

 

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【13】腸内細菌が子供の心に影響する?

【論文タイトル】Gut Feelings Begin in Childhood: the Gut Metagenome Correlates with Early Environment, Caregiving, and Behavior

【著者】Flannery et. al.

【年】October 2019

【ジャーナル】mBio

 

 

このごろ、腸内細菌については話題が尽きないですね。

がんとの関連性が説かれたり、ヒトの性格まで変えると言われたり。

 

腸内細菌の論文紹介シリーズをつくってみたら、おもしろいかなと思ったりしています。

(ほんとにやるかはわからないけど)

 

というわけで、今回はアメリカからの腸内細菌の論文についてです。

 

 

子供たちの心の発達には環境が影響します。

環境によっては、一生を通して悪い態度や精神疾患を取る子になってしまいます。

 

そのようななか、腸内細菌が早期の子供の道徳心の発達に影響するということが言われています。

腸内細菌自体は、早期の心理社会学的環境によって変えられると言われています。

 

 

しかしながら、腸内細菌とヒトの心の関連性について調査した研究は意外と少ないです。

 

 

そこで、筆者らは子供と腸内細菌の関係をメタゲノム解析によって調査しました。

 

筆者らはまず、アメリカの太平洋北西地域の中規模都市の子供40人とその両親に、その家庭の経済状況や、態度、腸内細菌の変化に関わる行動(抗生物質の服用など)、一週間の食事などについてアンケートをとりました。

 

その後、子供の便から腸内細菌のDNAを抽出し、メタゲノム解析を行いました。

 

 

その結果、腸内細菌の種類と子供の発達に重要な時期の態度が関連性を示すことが明らかとなりました。

 

さらに、社会経済的なリスクと子供の態度がある特定の細菌 (BacteroidesBifidobacteruum) と関わりを持つことも分かりました。

 

また、認知や健康に関連するモジュールも同様に関連性を示しました。

 

 

不安感や悲しみといった環境ストレスは、子供の腸内細菌を変化させてしまうのですね。

 

 

親の愛情が子供の心の健康に大事といいますが、

これが科学的に証明されてしまう日がくるかもしれませんね。

【12】二酸化炭素を食べる大腸菌

【論文タイトル】Conversion of Escherichia coli to Generate All Biomass Carbon from CO2

【著者】Gleizer et. al.

【年】November 2019

【ジャーナル】Cell

 

そういえば、少し前に話題になった論文をまだ読んでいなかったと思って、

本日はCell誌より出されたこちらの論文を読んでいこうと思います。

 

www.sciencedirect.com

 

大腸菌 (Escherichia coli) を完全独立栄養にした」という論文です。

 

この研究成果のインパクトは大きく、すでに様々なニュースやブログ記事にまとめられていました。(ツイート数はなんと2,000以上!)

 

 

実は初めてこの話を聞いたとき、私は

「それってまだされてなかったんだ」と思いました。

(私が無学なだけですが・・・)

 

 E. coli の研究は、微生物学の中でも最も盛んな分野なので、

独立栄養のE. coliをつくろうと思った人は今までにもいたとは思います(たぶん)。

 

しかし、今回達成された

CO2のみから生合成を行う系をつくるというのはかなりハードルが高く、

今まで誰も成功させることができていなかったようです。

 

 

では、筆者らはどうやってそれを達成したのでしょか?

 

 

私は筆者らが特に優れていたと感じるポイントは

 

1. 還元力とエネルギーを考慮した、すぐれた代謝デザイン

2. adaptive laboratory evolution (ALE) 

 

 

であると考えました。

 

 

 

 還元力とエネルギーを考慮した、すぐれた代謝デザイン

 

これについてですが、in vivo代謝工学を行う際には注意しなければいけない点ですね。

 

還元力(電子)エネルギー (ATP)炭素源

を獲得できる代謝系でなければ、生物は生きることができません。

 

筆者らの系では、

 

ギ酸を電子供与体として好気呼吸鎖でエネルギー獲得を行いカルビンベンソン回路で炭素固定を行い生合成する

 

という代謝系を構築することで、E. coliが完全独立栄養的に増殖可能になると考えました。

 

 

そのために、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ルビスコ、ホスホリブロキナーゼをE. coliで異種発現しました。

そして、E. coliが元々有する2つの酵素をノックアウトし、CO2から炭素を獲得しやすくなるようにしました。

 

 

しかし、それだけでは完全独立栄養にはならなかったのです。

そこでポイントの2つ目です。

 

 

adaptive laboratory evolution (ALE) を行った

 

ALEとは、ある条件下で菌の継代を繰り返すことで、菌を適応進化させることを言います。

 

著者らは、古来の炭素源であったキシロースの量を徐々に減らすことで

E.coliを完全独立栄養にしました。

 

実に1年以上の継代を重ねた結果、

E. coliはCO2から全ての生合成を行い、尚且つ安定して増殖するようになりました。

 

 

続きを読む

【10】「赤の女王」様の動態による海洋ウイルスの長期安定

【論文タイトル】Long-term stability and Red Queen-like strain dynamics in marine viruses

【著者】Ignacio-Espinoza, Ahlgren & Fuhrman

【年】December 2019

【ジャーナル】Nature Microbiology

 

 

論文のタイトルに惹かれて読んでしまいました。

 

海洋ウイルスの動態が「赤の女王」様に変化するというのです。

 

一体どういうことでしょうか?

 

 

「赤の女王」仮説とは、進化に関する仮説の一つです。

 

ルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場する「赤の女王」が「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」といったそうです。

 

進化に置き換えて言うと、

生物が群集の中で生存し続けるためには、進化適応し続けなければならない

ということですね。

 

 

微生物に感染するウイルスは、微生物の進化から物質循環に関連しており、微生物コミュニティに大きく影響します。

 

しかし、ウイルス動態などの評価はまだ十分に行われているとは言えない状況だそうです。

 

そこで著者らは、海洋における長期的なウイルス動態を明らかにするために、

 

サンペドロ海洋表層 (0.02-0.2 µm) のサンプルを5年間にわたり採取し、メタゲノム解析を行いました。

 

 

その結果、アセンブルされた19,907コンティグのうち、97%がすべてのサンプルに共通していました。

また、最も類似的なサンプルは12か月ごとに現れ、コミュニティに季節的な周期性があることも示唆されました。

 

以上より、海洋表層のウイルスコミュニティは長期的に安定したものであることが分かりました。

 

一方で、ウイルスのシーケンス結果によると、single-nucleotide polymorphisms (SNPs) には多様性があり、

一定の値で小さな群集が現れて数か月ごとの減少と上昇を繰り返していることが分かりました。

 

そして、この現象が「赤の女王」動態と似ているのだそうです。

 

既知の微生物宿主とウイルスの相互作用から明らかになっていますが、

宿主とウイルスは互いに対する感染と感染防御システムをいたちごっこのように進化させています。

 

そのため、群集内における微生物に対する選択圧は、

日々変動していると考えられています。

 

群集内において小さな群集や変異体が増えたり減ったりしていることは、この仮説によって説明が可能です。

 

 

小さな個体群の永続的な変動がウイルス-宿主の共存を長期的に可能にしているのですね。

 

【引用】

www.nature.com

 

 

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